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次の日はまた今西さんが朝の支度に来てくれた。胃婁からの栄養剤の注入もおむつ替えも着替えも、慣れてしまえばそれほど苦痛ではないと思っているけれど、やはりこうしてプロにやってもらうと、あの人も楽そうだし、私も自分の時間が取れてありがたい。今西さんは特に丁寧だしいつも楽しそうにお世話をしてくれるので、夫も私も安心していられる。
私は隣の部屋で洗濯物をたたみながら、いつの間にか転寝をしていた。
「なるほど、二日目のカレーっていうのがポイントなんですね」
今西さんが少し笑いながらそう言っている。夢うつつにそれを聞きながら、また心が揺れるのを感じた。
「じゃあ、前の日に美香さんか啓介さんが来てくださる日がいいでしょうか」
夫の返事は聞こえない。この頃めっきり言葉が聞き取りにくくなった。毎日一緒にいる私でさえ簡単な返事しか聞き取れないことが多い。
「では、ご予定を確認してみましょう」
今西さんが立ち上がってこちらへやってくる気配がして、私はあわてて薄く開けていた目を閉じた。
「奥さんはお休みになってます。お疲れなんですね」
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