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「あ、すいま」
「遥っ!」
「え?」
女の顔を見て俺はすぐに舌打ちしそうになった。
「遥だよね?久しぶりっ」
その声に隣の女も俺を見せ物のようにジロジロと見てくる。
「え?亜由の知り合い?めっちゃイケメンだしー」
長い茶髪にミニスカートを履いた亜由がピンクのルージュを引き上げた。
「遥はアタシの元カレ?元セフレ?だよねー?」
「え!亜由のセフレ?羨ましいーっ」
咄嗟に有桜を見れば案の定俯いている。有桜が俯くのは泣く一歩手前だ。さっさとこんなとこあとにしたい。俺は奥歯を噛み締めた。
「悪いけど、いま彼女と一緒だから」
「え?遥?その子お客さんでしょ?」
「違う。マジの彼女だから」
「そんな子供っぽい子が?」
亜由が馬鹿にしたように有桜を見ながら長い茶髪を耳にかけた。
「うるせぇよ!オマエに関係ねーだろっ」
俺はそう言って亜由達の横を通り過ぎようとするが、すぐに派手なネイルが施された掌が俺の腕を掴んだ。
「怒んないでよ、遥。ね、久しぶりに今度会お?遥の顔みたら色々思い出しちゃったしー、ちゃんとお金払うからさ。アタシ達、身体の相性良かったじゃん」
「離せよ!言ったよな!もう忘れさせ屋やめたから。じゃあな」
俺は雑に亜由の手を振り払うと有桜の手を引いて二人に背を向けた。亜由の隣の女から「何あれ、最悪」と声が聞こえてくる。
(最悪なのはオマエらだろーが)
「……じゃあ遥、これSNSにばら撒いていい?」
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