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忘れられないドロップス
──私は桜を見ればいつも思い出す。
あの日迎えにきてくれた遥のことを。
もう離れないと約束をするように、互いの唇を重ねた日のことを。
「遥、起きてよ」
ダブルベッドで気持ちよさそうに眠る遥をそっとゆするが遥の長い睫毛は閉じたままだ。私は少しゆする手を強めた。
「遥、お花見行きたいよ」
「……ん。有桜、何時?」
寝室の壁掛け時計を見れば9時回ったところだ。
「9時すぎたとこ」
「うーん……有桜」
「わっ……」
遥からするりと伸ばされた腕は私をあっという間に布団に引き込んだ。
「いい匂いすんな」
「ちょ……遥っ、くすぐったい」
「有桜じっとして」
遥の吐息が耳元から首元にかかるとすぐにチクンとする。
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