卒業後編Ⅱ

4/12
前へ
/124ページ
次へ
<楓翔side> そんなこんなで酷い小学校生活を終えて(ちなみに学校はちゃんと卒業させてくれた。出席日数的なのは全然足りてなかったと思うけど)、中学生になったけど、俺が学校に行くことは無かった。 どうせ中学に行ったって三分の一は小学生の頃の同級生なわけだし、そんなに環境が大きく変わることなんてないだろうと思って。 あ、そうそう。 俺が行ってた中学って、中学受験してない付近の小学校三校の生徒がみんな通うんだよ。 だから学年の三分の一は必然的に知り合いってわけ。 とにかく、俺が小学校をサボり続けてたものだから、学年中で俺の家では何かが起きている、みたいな変なうわさも広がってたし。 まぁ実際起きてるんだけど。 それをいちいち説明するのも面倒くさかったし、説明する気もなかったし。 家にいるのも嫌だったけど、昼間なら静かだし、親もいないし、まだ楽に過ごせたからずっと自分の部屋の中にいた。 「まったく分かんねー……」 そんな中俺が部屋で何をしていたかというと、一応学校からもらった教科書だけは見ていた。 このまま何にもしない訳にもいかないって言うことは分かってたし、かといって本を読む気にはならないし、この時の俺はスマホなんて持ってなかったし。 つまりやる事がなかったってだけなんだけど。 でも、教科書を見つめてたって、教科書の内容が理解できるわけじゃないし、頭がよくなるわけじゃない。 教科書の問題を解いてみたって答えが分かんないから合っているのかすら分からない。 だから、暗記だけで何とかなる教科の教科書だけをずっと見ていた。 英語とか理科とかな。 あとは、暗記への気力が失せた時に国語の教科書。 あれ色んな文章が印刷されてるだけだから、ほぼ読書だよな。 いい気分転換にはなったんだよ。 「mean、意味する……keep、ある動作を続ける、もち続ける……remember、覚えている……待って昨日の俺スペル間違えてるし」 独学で単語帳とかを作って暗記科目だけなんとかした。 そのおかげか、俺英語だけは得意なんだよ。 単語覚えてるだけだから文法はボロボロだけどな。 でも文法も規則性を覚えるだけだって気が付いて、中学三年くらいにはそこまで苦手じゃなくなった。 基本的な形は今でも覚えてると思う。 でもそのおかげで、数学は一ミリもできなくなってしまった。 これが、俺が数学だけやたら苦手な理由な。 暗記で何とかなる科目はなんとかできるけど、数学は経験が大事らしいから俺には向いてないってことなんだろう。 ちなみにこれはせんせーが一番最初に教えてくれたこと。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加