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<楓翔side>
「そんな中だったんだよ。俺がせんせーのこと知ったの」
「…………」
「せんせーも俺のこと、ほぼいつでも受け入れてくれたよな」
「……すみません」
「いいよ。もう気にしてない」
せんせーの「すみません」は、「突き放してしまってすみません」の意味だと思う。
正直、せんせーにもう準備室に来るなと言われたときは、正直辛かった。
今までの生活の中で、壮斗の隣にいる時と同じくらい心地よかった空間が、あの一言だけで消え去っちゃったんだから。
歳不相応に「なんでだよ」ってわがまま言いまくったし、その後も心の底からせんせーの言葉に納得することは出来なかった。
でも、ちょっと冷静になって考えてみたら、せんせーの気持ちも分からなくない気もしたんだ。
せんせーはきっと、俺のことを考えてそう言ったんだろうって。
俺の人生をぶっ壊さないために、そう言ったんだろうって。
「前にご両親のお話をした時に口ごもっていたのは、このことが原因なんですね」
「あぁ、セックスする場所の話してた時のか。そうだよ。よく気付いたね」
「当たり前です。これでも教師ですよ。それに、神崎くんのことは少なからず見てきたつもりです」
「うん、せんせーは俺のこと、俺の親よりも知ってる気がする」
「それは……光栄と言ってもいいことなんでしょうか」
「いいよ。その方が俺も嬉しいもん」
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