卒業後編Ⅱ

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<真弥side> 神崎くんのお話を聞いている間ずっと、私は涙をこらえるのに必死でした。 泣きたいのは神崎くんの方。 私ごと気が泣いていいはずがないんです。 一度神崎くんのことを突き放してしまった私に、神崎くんの話を聞いて同情する資格なんてありません。 でも、彼の人生はあまりにも壮絶過ぎました。 なにかしら事情があって学校に来ないんだとそう思ってはいましたが、まさか彼の抱えていたものがここまで酷かっただなんて。 (そんな彼に私はなんてことを……) 今まで悔やみ続けてきましたが、このお話を聞いて、さらに私の行動がいかに愚かであったかを痛感させられたました。 こんな私のことを、神崎くんは心の支えだと思っていてくれていたというのに。 「本当にすみません、神崎くん」 「だからもういいって。せんせーも色々考えて出した結果だったんだろ?」 「それはそうですけど……」 「俺もごめん。わがまま言いまくって子供っぽかったよな」 「そんなこと……」 神崎くんは、自分のことを我儘だとか身勝手だとかよく言っていますが、その心の内に抱えているものを鑑みたら、今までの我慢はどれほど彼にとって酷だったことでしょうか。 彼の今までの発言は、今までの我儘は、いっそ可愛いものでしかないと思えてなりません。 私の発言の時も含めてたくさんの我慢を強いられてきた彼には、これからは沢山我が儘を言って欲しいなと、そう思います。 これからは、せめて私や柳瀬くんの前では、本来の神崎くんのままで言て欲しいと、そう思います。
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