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<楓翔side>
「なぁせんせー」
「なんですか?」
せんせーが一番好きだ。
せんせーが一番大事だ。
せんせーが俺にとっての一番なんだ。
だから、今度こそ手放したりしない。
これからも、色んなことがあるんだと思う。
上手くいかないことばっかりだろうし、もしかしたらせんせーといつか分かれちゃうかもしれない。
でも、そんな風にならないように、俺も俺なりに頑張るから。
せんせーの隣にいれるように、ちゃんと努力するから。
だから――――
「せんせーのことが好きです。俺と付き合って下さい」
「神崎くん……」
「せんせーは先生だ。それに比べて俺はまだ子供だし、何にも知らないし、せんせーに迷惑ばっかりかけるかもしれない。でも、それでもせんせーの隣にいたい。せんせーの隣にいる人は、俺じゃなきゃ嫌だ」
「…………」
俺の過去を聞いて、俺のことが嫌になっちゃったかもしれない。
こんな面倒くさいヤツと付き合ったって、楽しくないことの方が多いのかもしれない。
でも、俺にはせんせーしかいないから。
せんせー以外なんてありえないから。
「せんせーが嫌じゃないなら、俺が隣にいること許して欲しい。せんせーの傍にいさせて下さい」
「……えぇ、もちろんです」
「せんせー!」
「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします。今まで受け入れてあげられなくてすみませんでした」
「……それ、俺のセリフだし」
今までわがままばっかり言って、困らせまくってごめんなさい。
思わず泣きそうになりながら嬉しさを隠せないでいると、せんせーが俺のことを抱き締めてくれた。
せんせーから俺に何かしてくれたの初めてだ……。
これからは周りとか色々気にしなくていいんだよな。
好きな時にハグして、好きな時にキスできるんだ。
何それめっちゃ嬉しいんだけど。
「いや、何事にも限度はありますからね?」
「なんで俺が考えてること分かんだよ。つーか今そんなこと言うなよ。空気読めって」
「ふふっ、冗談ですよ」
今まで感じていたものと同じくらい、ううん、それ以上にせんせーの傍は、温かくて幸せな場所だ。
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