卒業後編Ⅲ

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<楓翔side> 「なぁせんせー」 「なんですか?」 せんせーが一番好きだ。 せんせーが一番大事だ。 せんせーが俺にとっての一番なんだ。 だから、今度こそ手放したりしない。 これからも、色んなことがあるんだと思う。 上手くいかないことばっかりだろうし、もしかしたらせんせーといつか分かれちゃうかもしれない。 でも、そんな風にならないように、俺も俺なりに頑張るから。 せんせーの隣にいれるように、ちゃんと努力するから。 だから―――― 「せんせーのことが好きです。俺と付き合って下さい」 「神崎くん……」 「せんせーは先生だ。それに比べて俺はまだ子供だし、何にも知らないし、せんせーに迷惑ばっかりかけるかもしれない。でも、それでもせんせーの隣にいたい。せんせーの隣にいる人は、俺じゃなきゃ嫌だ」 「…………」 俺の過去を聞いて、俺のことが嫌になっちゃったかもしれない。 こんな面倒くさいヤツと付き合ったって、楽しくないことの方が多いのかもしれない。 でも、俺にはせんせーしかいないから。 せんせー以外なんてありえないから。 「せんせーが嫌じゃないなら、俺が隣にいること許して欲しい。せんせーの傍にいさせて下さい」 「……えぇ、もちろんです」 「せんせー!」 「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします。今まで受け入れてあげられなくてすみませんでした」 「……それ、俺のセリフだし」 今までわがままばっかり言って、困らせまくってごめんなさい。 思わず泣きそうになりながら嬉しさを隠せないでいると、せんせーが俺のことを抱き締めてくれた。 せんせーから俺に何かしてくれたの初めてだ……。 これからは周りとか色々気にしなくていいんだよな。 好きな時にハグして、好きな時にキスできるんだ。 何それめっちゃ嬉しいんだけど。 「いや、何事にも限度はありますからね?」 「なんで俺が考えてること分かんだよ。つーか今そんなこと言うなよ。空気読めって」 「ふふっ、冗談ですよ」 今まで感じていたものと同じくらい、ううん、それ以上にせんせーの傍は、温かくて幸せな場所だ。
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