卒業後編Ⅲ

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「あ、あの……」 「……ぁに?」 「その、ですね……」 「どしたん?痛かった?」 「いえ、痛くはないんですけど……」 もう俺の一方的な気持ちじゃない。 それに感動を覚えながら好き勝手に真弥さんにキスしてたら、急に真弥さんに手でそれを止められた。 確かに浮かれすぎてちょっと乱暴になった節はあったかもしれない。 でも痛いことはしてないはずだし、真弥さんだって気持ちよさそうな声出してた―――― 「ごふっ」 「変なこと言わないで下さい……!」 「勝手に人の心読まないで下さい……で、なに?」 「その、それ……」 真弥さんの拳が俺のお腹にクリーンヒットした後、真弥さんの視線が俺の股間あたりに向けられたことで、俺はようやく真弥さんの言いたいことが分かった。 ……男ならさ、これは仕方ないじゃん? 好きな人目の前にキスしまくってたら誰だって勃つじゃん? 生理現象じゃん? 単刀直入に言うと、俺の俺が元気になってる。 それが真弥さんのに当たっちゃってたからか。 「真弥さん、俺のこと好きって言ってくれたよね?」 「言いました、けど……?」 「じゃあこっちの俺も愛して」 赤くなった顔を隠すように添えられていた真弥さんの両手を片手で掴んで、ちょっと乱暴に口元から剥がした。 そうするとさらに真っ赤になっちゃって、それがめっちゃ可愛いな、なんて思う。 さっきから真弥さんのこと可愛い可愛い言い過ぎだよな、俺……。 でも何してても可愛いんだから仕方ないよな。 いちいち可愛い真弥さんが悪い。 「ちょ、ちょっと……!」 「俺もうこれ以上我慢とかしないよ」 「そ、そうじゃなくて!」 「いいからもっとちゅーしよ」 手も退けて、どさくさに紛れてカーペットに押し倒したから真弥さんにもう逃げ場なんてないのに、頑なに拒否してくる。 俺もっと真弥さんに触れたいんですけど。 これ以上我慢しろってのは、結構拷問なんですけど。 まだ待たなきゃダメ……? 「ひ、楓翔くん」 「なぁに?」 「その、ごめんなさい。色々と……拒否するようなことばかり」 「もういいよ。気にしてないって」 「あ、あと、私だって嫌なわけじゃないですからね!緊張してつい身構えてしまうだけでっ」 「真弥さん」 「はい……?」 「分かったからそろそろ黙ろ?」 真弥さんが色々謝ってて、でもやっぱり我慢できないから適当に返事して、それから顔をグッと真弥さんに近づけた。 でも真弥さんだって嫌なわけじゃないってことと、変わらずいちいち真面目なとこが可愛かったから許してあげる。
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