10.その後

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10.その後

「うちの探偵事務所ではね、SNSで募ったアルバイトに調査をお願いすることがあるんだ。そしてその際に有能な人物がいれば探偵として採用することにしているんだよ。そのアルバイトが採用試験になっていると云ってもいいかもしれないね。そして彼は久しぶりの合格者だった。我々は警察から密かに依頼されて、強盗団がC橋近くの家を狙っているという噂を調べていて、確かにそうらしいというところまでは掴んだのだだけれど、肝心のターゲットとしている家が特定できなくてね。それでアルバイト諸君に調査を依頼した訳さ。雇ったのは数人いたけれど、彼はとてもうまくやってくれた。観察力も運動能力も、決断力も素晴らしかったし、なによりも成果を残したんだから文句はない」  H町の探偵事務所でオーナである酒巻が、探偵志望だという若者に聞かせていたのはそんな話であった。そして酒巻はちらりと窓から外をみて指さした。 「おや、あれはうちの新人探偵だよ。サングラスをしている彼だよ。南川達也君。今彼が手掛けているのは、例の強盗団にはさらなる指示役がいるらしいということで、潜入調査をしているところなんだ。もし君がよければ、今うちはインターンを募集しているから彼と一緒に暫く働いてみないかい?」
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