序章

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序章

 高校に落ちた。  絶対に行きたい、行ってやるんだと、長い間切実に所望し続けてきた学校だった。合格するために塾に通い、自分が出来うる限りの勉強をした。長い間、努力を惜しまなかった。  試験はあっさり終了した。考えてみれば、受験勉強に費やす時間は何ヶ月、下手をすると何年という長さになるが、試験時間自体はほんの数時間である。経験したことのないまでの緊張。パニックを起こし、頭の中が真っ白になり、実力を出し切れなかった。  時間や労力に、友人との約束。先生からの応援。そして、これからの人生。全てをかけた受験は、あっさりと終了した。  それは、僅か十五歳の少年の心をへし折るには、十分すぎる出来事であった。
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