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「んーおいしいー!」
「ね、幾らでも食べられちゃうね!」
「たべられちゃう!」
ローテーブルを挟み、向き合って幸せを頬張る。ふわとろ玉子とケチャップのハーモニーに、自作ながら唸りをあげた。
オムレツは我が家の、定番中の定番メニューである。理由はシンプルで、私も和佐も一番の好物だからだ。
「そうだ、さっきの算数楽しかった話、続き聞かせてよ」
「いいよー!」
和佐は半年前、小学校に上がったばかりである。
家では饒舌なものの人見知りのある彼女は、入学したての頃、毎朝古いロボットのように登校していた。しかし月日が慣れを与えたのか、今は楽しめているらしく本気で喜んでいる。
特に、和佐にはたくさん無理や寂しい思いをさせているし――。
和佐が物心着いた時点で、旦那とは離婚していた。保育園に入れる年齢になってからは、フルタイムの仕事なんかも持ち始めた。
だから今じゃ鍵っ子だし、十八時までは一人にしてしまう。行事ごとも不参加続きになってしまったりと、親としての不甲斐なさを感じている。
だからこそ、時間を共有できる間だけは、全力で愛を注ごうと努めているが。
――けどまぁ、正直いつ不満が爆発しちゃうかとかドキドキするよね。
「明日何か食べたいものある?」
「オムレツー! しろいソースのやつがいい! あとカレー!」
「了解です!」
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