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ぐあいのよくないひ
「気を付けて行ってきてねー!」
「はーい、いってきまーす!」
まだ傷の少ないランドセルが消えていく。扉が閉まりきる頃、翻って出勤準備の続きを再開した。
準備には、洗濯や夜食の下準備も含まれる。ここから――七時半からの三十分は特にフルマラソン級の忙しさだった。
そしてそれは、多少頭痛があろうと体が怠かろうと変わらない。
一応薬を飲んで仕事に行くか……そう考えながらも、まずは計画遂行の為キッチンへ走った。
――時間に追いかけられると、人間は普段以上に忘れっぽくなると思う。オフィスでパソコンを睨みながら、今さら薬の飲み忘れを後悔していた。
朝の時点では“多少”程度だった痛みが、時間と連携でもしたのか徐々に強まっている。それこそ早退を考えるほどだった。
しかし、受けた仕事を放り出せず、もう少しだけを繰り返す内、結局タイミングを逃がした。
帰宅したら速攻薬を飲み、食事だけ済ませたら早めに眠らせてもらおう。計画し、痛みを紛らすようパソコンを操った。
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