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コトが終わり、床に落ちているレースのTバッグのパンツを持ち上げてマジマジと眺めた。
「どうだ?津々理、そのパンツいいだろう、津々理に見せたくて買ったんだ」
「ああ、すげぇな、唆るわ」
「色違いで七枚買ったからな、毎回楽しみにしていてくれ」
嬉しそうに言う。
色違いじゃなくてデザイン違いが良かったぜ、とオレは思う。
「あ、そうだ… 」
思い出したように柊木が、ダイニングの隅にあった段ボールを持ってきて中を探るとオレに差し出す。
「津々理、これを締めてくれ」
渡されたのは『ふんどし』
昔の人が締めてた様なヤツじゃなくて、セクシー路線。
「は?やだわ、ケツ、丸見えじゃん」
「俺にしか見えないんだからいいだろう!締めてくれっ!」
グイグイとふんどしをオレの胸に押しつけてきて、凄まじい形相で懇願され仕方なく締めてやった。
自慢の肉体美、上半身裸でふんどし一丁。
「…………… 」
絶句している柊木、いや、何か言えや。
「す、すごいな… 津々理… 勃ったらどうなるんだ? 勃たせてくれ」
アホか、そんな事言われて「はいよ」てな具合に勃つ訳ねぇだろう。
… って、勃っちまったじゃん。
「ああっ!すごいっ!素晴らしいっ!」
まさにテントになっている俺の股間の前に跪き、腰骨の辺りをさすりながら目に星を輝かせて舐めるように見ている柊木。
いっそ舐めてくれ。
そんなこんなな、ドタバタで幸せな毎日を過ごしている。
日本に戻ってきて、いくつか生活が変わった。その一つに車を買った事がある。
「津々理にはこんなのがお似合いだっ!これしかないだろう!」
柊木が持ってきた車のパンフレットは真っ赤なスポーツカー。
いやいや、待てよ、そんなん合理的じゃねぇわ。買い物とか日常で使うのに買うんだよ、実用性重視だ。
「流石にこれはねぇな」
「… そうか… じゃ、これは?」
サッと違うパンフレットを差し出す柊木。
違うの持ってたんかよ。
「じゃあ、仕方ない、これで我慢する」
口を尖らして柊木が残念そうに言う。
オマエが運転すんじゃねぇし、我慢って何だよ。
八人乗りのミニバン。
乗るの二人だけだし八人乗りなんていらねぇだろ、と思ったけど、これがガタイのでかいオレでも楽々乗れてまぁまぁ良かった。
そして休日に買い物に出掛ける。大きなショッピングモール。
洋服やら雑貨やら、まだ買うのかよってな位に買い物をする柊木は手ぶらで、足取り軽くスキップ踏んでやがる。オレの両手は荷物で塞がる。
… 韻を踏んだな。
「ん?津々理、コインロッカーに荷物を預けないのか?」
……………… 早く言えよ。
オレの両手も自由になり、各々服を見ていた時に不意に声がした。
「三太郎!三太郎じゃないか?」
前作で一度しか登場してない名前だから「誰?」って思ったかも知れないが、柊木の名前だ。ちなみにオレは『光星』あんま好きじゃねぇ。
「三太郎だろう?」
誰だよ… 気安く柊木に声を掛けやがって。服を探しながら、目線だけチラリと柊木の方に動いた。
「ユウトっ!ユウトじゃないかっ!」
柊木の顔が、パァ〜ッと明るく弾けそうな笑顔になっている。
誰だよ、そいつ… 。
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