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机を挟んだ向かい側で、チャートを読む私の様子を冬美はじっと見ていた。
「何が言いたいのよ?」
明らかに様子が変わった。
仲良く一緒に遊んでバカもやった学生時代のあの頃、彼女は私にこんな顔を見せたことは一度もなかった。
「私は、何も……」
「チャートやらを見てどうせ私を卑下してるんでしょ?」
「いや、そうじゃ無くて……」
反射的に言った言葉が冬美にスイッチを入れてしまったのか?
「確かに私は玲也と付き合ってるわよ。でも、菜那子がそんなこと言える資格なんてないわよ!、原因はあなたなんだから」
「えっ……?」
私は何も答えられなかったーー。
「今日だって玲也は『菜那子が、菜那子だったら、菜那子なら』って、それでこっちが逆ギレして殴らただけよ?それも犯罪なの?。元は玲也が私に告白ったのにーー」
私が聞く前に事件の概要は冬美の方から話してくれた。
今日はこの警察署の管内を車で移動中立ち寄ったレストランで、交際中の彼氏が元カノのことを引き合いに出し過ぎて彼女が逆ギレ、彼氏が手を上げたということだ。
警察でも普段よく取り扱う単純な痴話喧嘩だけど、間接的に自分が関わっている上、知りたくなかったことまで聞かされて全く気持ちのいいものではなかったーー。
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