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帰宅し入念に戸締りする。
ログイン中にトークン強盗に襲われたら大変だ。
プライベートカプセルに入ると生体認証が作動し、現実世界から離脱する。
「ナユタ」
「リンネ」
彼女はメタレルム上の恋人だ。
現実世界のどこに居るのか、性別も年齢も分からない。
「遅いよ。5分遅刻」
「ごめん。オフラインショップでビール買ってた」
「メタレルムでいくらでも疑似アルコール飲めるのに?」
「じゃぁ要らない?」
「飲む」
「たまに本物を欲しくなるんだよね。今、転送した」
特定のマテリアルはゲート技術で転送できる。
通信障害やパラレル干渉で不具合が発生することが稀にある。
過去にはペットや子供を転送しようとして、凄惨な事故が起きたことから、制限がかけられた。
普段は脳内電気信号を操り、飲酒と錯覚させるが、今夜は本物のビールで乾杯。
舞台は人気の居酒屋に設定した。
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