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私の言葉に元気さんが爆笑した。
「俺も聞いた!!
普通に仕事出来る奴だってサトシ兄が言ってた!!
小さな頃から分家の人間は分家の人間で勉強はさせられてたらしいから。」
「あと、サトシさんから唯斗君をうちで住まわせることは出来るか聞かれたんですよね。
ちゃんと家賃を払わせるからって。
唯斗君、夜遅くまでシフトを入れたいからここら辺で部屋を探してるそうなんですけど、どこも人気で空きが全然ないみたいなんですよ。」
「いや、普通に無理。
いくら広い家でも彼女が他の男と住むのは無理です。」
少し怒りながらそう言われて・・・
「それなら元気さんもうちに住みますか?
お父さんに唯斗君のことを聞いたら間借りだから凄くお安かったで・・・」
「住む!!!」
私の言葉に元気さんが被せるように返事をした。
「ここら辺マジで人気で空きがないんだよ!!
でも、カヤちゃんもいるけど大丈夫?」
「カヤは大丈夫ですよ、この神社の跡を継ぐのはカヤなくらいなので。
商店街の人達の言葉を借りるなら次の神様なわけですし。」
私がそう言った時、部屋の扉がノックされた。
ソ~っと開かれた扉からはカヤの涼しい綺麗な顔が少しだけ出てきた。
「よかった、変なタイミングじゃなくて。
麦茶作りすぎちゃったんだけど飲む?
冷たくないやつだけど。」
そう言ってお盆にのせたマグカップを2つ持ってきてくれた。
1つは“M”と赤いマジックで書かれた私のマグカップ、そしてもう1つは黒い文字で“G”と書かれた元気さんのマグカップ。
「「ありがとう!!」」
元気さんと同じタイミングでお礼を伝え、それぞれ自分のマグカップを取った。
そして飲もうとしたら元気さんが爆笑して・・・
「俺の、これ麦茶じゃないよね?
炭酸みたいな泡出てるし。」
「あ、そうです、コーラにしておきました。」
カヤがそんなことを言って元気さんを真っ直ぐと見た。
「日本にいても向こうを忘れないでいられるように。
9月から日本にいながらもっと世界と繋がっていないといけないようですので。」
「そうだね、9月で増田ホールディングスで海外事業部の統括部長になる。
グループ全体の海外事業のことを見ていくことになるからもっと広い世界になる。
俺達が立ち上げた会社は5ヵ国だから。」
元気さんの言葉には首を傾げながら聞いた。
「4ヵ国じゃなかったでしたっけ?」
「ああ、うん、4ヵ国だったんだけど9月で5ヵ国になる。」
そう言ってから楽しそうな顔で笑った。
「美鼓ちゃんだから言っちゃうけど、小関部長をうちに貰うから。」
「元気さん達の会社にですか?」
「そう、俺達の保険会社、その日本支社の支社長になる。
日本の保険会社では小関部長みたいな人の方が好まれるから。
お兄さんがもっと優秀だったから先に増田生命に勤めたらしいけど、小関部長も真面目過ぎるくらいに優秀な人だからね。」
そう言った後に私にマグカップを近付けてきた。
「増田ホールディングスに俺達の会社を吸収合併させた。
その契約の為にこの前信之君が来てたけど、分家の人間達や各会社のトップの前で実質的な社長が俺だって説明してくれたから、今回俺が増田ホールディングスの海外事業統括部の部長になることも反対されなかった。」
「そうだったんですね、おめでとうございます。」
増田ホールディングスでも一歩偉くなった元気さんのマグカップに私のマグカップをつけた。
そして2人で飲んだ後、元気さんが嬉しそうな顔で自分のマグカップを見た。
「美鼓ちゃんのマグカップを買った時に自分のも買ってたんだ。
離れてても一緒にお茶してる気持ちになれるように。」
「私もこのマグカップで麦茶を飲んでましたよ。」
「元気君を捨てた時にマグカップもなくなってたけどね?」
カヤの言葉には慌てたけれど、元気さんは爆笑している。
そんな元気さんにカヤも楽しそうに笑って・・・
「“ゆきのうえ商店街”に遊びに行くなら早く行ってくれない?
私、夕方から予定あるから。」
そんな言葉には元気さんと一緒に首を傾げた。
「え!?アイスのテイクアウトを持って帰るって昨日約束したでしょ!?
忘れちゃった!?」
元気さんと部屋でイチャイチャし始めた時にそんなようなことを扉越しに約束したような気もして・・・。
元気さんを見ると元気さんもアワアワとしていて珍しく本当に忘れていたらしい。
「早く2人で“ゆきのうえ商店街”に遊びに行ってきて!!」
「「了解です・・・!!」」
end........
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