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「元気君。」
男の人が元気さんの名前を呼びながらグラスを持つと、元気さんがそこにビールを注いでいった。
「元気君、お酒飲めないんだって?」
「母親に似て酒弱すぎるんだよ~!!」
「シラフでも他のみんなと同じくらい盛り上がれそうだから大丈夫じゃない?」
「それはもう朝飯前!!!」
元気さんと男の人が少し話した後、元気さんは私の方を見ることなく別のテーブルに行ってしまった。
「国光さん、元気君と知り合いだったんだって?」
「そうだと思っていたんですけど、忘れちゃったみたいです。
私のことも、約束のことも。」
「元気君とどこで会ったの?
元気君、その時に何してた?」
男の人が少し前のめりになって私に聞いてきた。
それには少しだけ考え、答える。
「東京で会いました。
元気さんがフラッと寄った所に私がいて、そこで少しお喋りをして。」
「東京?元気君、東京にいたの?」
「はい、その日は。」
「どんな格好してた?」
「夏だったので今みたいな格好ですけど。」
「そうなんだ・・・。」
男の人が何やら考えた様子になり、それから離れた所で盛り上がっている元気さんの方を見た。
「元気君って増田財閥の本家の次男なんだよね。」
それには少し驚く。
「そういえば、元気さんって増田って名字ですもんね!!」
「うん、増田っていう名字だよね。
お兄さんは物凄く怖い人なんだけど、元気君はああいう感じで。
国光さんが会った時もああいう感じだった?」
「基本的にはああいう感じですね。」
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