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8月1日、ギラギラの太陽が照り付ける中、真っ赤な傘を持ち真っ赤な長靴を履いて、8時半という時間にオフィス街を歩いている。 24歳という歳だけど真っ黒なリクルートスーツ。 そこに真っ赤な傘と真っ赤な長靴は不恰好だとは分かるけれど、それでもこの格好で来た。 後ろで1つに結んでいる髪の毛も邪魔なくらい朝から暑い。 たいして化粧もしていない顔をハンカチで何度も拭いながら着いた場所。 高校を卒業し派遣やバイトしかしていなかったような私が何故かこんなに大きな大きな会社、増田ホールディングスに入社をした。 そして、エレベーターの中で見掛けたその人を見て自然と笑顔になった。 「元気さん!!」 明るく声を掛けると元気さんがゆっくりと振り返ってきた。 でも、私のことを見てくれなくて・・・ 「あの!お久しぶりです!!」 右手を少し挙げながら声を掛けると、元気さんは私のことをジッと見て・・・ 「ごめんね、誰だっけ~?」 そう言われてしまいそれには驚き慌てた。 「あの、1年前にもお会いして・・・!!」 「1年前・・・? いやいや、それはないっしょ!! 俺ずっと放浪の旅に出てたし!!」 そう言って1人で爆笑し、エレベーターの中は元気さんの大きな笑い声が響き・・・ 「ごめんね、キミのこと覚えてないや!!」 そう言ってエレベーターを降りていった。 私は驚き続けたまま、スーツでも私服でもなくティーシャツにハーフパンツとサンダル、そして明るい茶色い髪の毛をした真っ白な肌の元気さんの後ろ姿を眺めるしかなかった・・・。
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