947人が本棚に入れています
本棚に追加
「百年も前に絶滅してしまったからな」
「フレイアは、嵐の夜にだけ羽化ができる。雷光の力を借りて……そうでしょう?」
「逆に彼らは雷光がなければ羽化できない。もともと希少種だったうえに、世界的に日照りが続いた異常気象のせいで、その種を絶やしたと言われている」
——————可愛いわね。
光のようにかがやく微笑みを浮かべながら——時々ふふ、と小さな声を漏らして、エリアーナは幻の蝶フレイアと戯れる。
レオンの遠い目には、眼鏡の奥に隠した美しい瞳をきらきらと輝かせる編入生、エリアーナを映していた。
「そう。あの日もレオンは誰もいない廊下で、こんなふうにフレイアを見せてくれたの」
——————そう。
あの日は暗く沈みきった編入生の気分を晴らそうと……ただ、それだけのつもりだった。なのに俺は、君を——。
最初のコメントを投稿しよう!