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「少しは気が晴れたか?」
虚空を舞う美しい蝶が夕陽に溶けるように次々と姿を消してゆく。
「ええ、もう平気よ。この世の奇跡をまた見せてもらえたんだもの」
「生前の母が見て喜んでいたんだ。幼かった俺が悪戯をしても、フレイアを出せば機嫌が治った」
「お母様が……そうなの。亡くなった私の母も蝶々が好きだった。自分の婚礼衣装に蝶のモチーフをあしらうほどに」
「エリーも母君を亡くしているんだな」
「でも私には、レオンみたいにステキな魔法は使えないから。幻のフレイアを私のお母様にも見せてあげたかったなっ」
エリアーナの笑顔が輝くのを見て、レオンは満足げに目を細め、頬を緩める。
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