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強い口調で、けれどさらりと言い放ったのは揶揄いじゃない。レオンの気概が宿る、まるで誓いそのものだ。
「ああそうか、予言が外れて俺自身が死なずに生きていたらだがな」
はぐらかすように冗談を言って笑ったのは、他でもなく照れ隠しであった。
そんなレオンの想いを知るエリアーナには、どうしても伝えなければならない『事実』がある。
『一目で惚れた……それが俺の事実』
夕陽に染まる書庫室で打ち明けられた、彼の『事実』。
あの時は冗談にしか取れなかったけれど、あの日以来、凍てついた冬の海を連想させるレオンの碧い瞳にあまく優しい光が宿るのを、鈍感なエリアーナでさえ感じずにはいられない。
「……あのね」
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