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「くっ…!」
私の言葉に何も言い返せなくなった胸糞勇者様が再びレッドドラゴンを見上げた。
「ちっ!やるしかないな。この勇者アルテガ様を舐めるなよ…!」
そう言って、胸糞勇者様が手を組んで魔法の詠唱を始めた。
胸糞勇者の両手が赤く光りだす。
その光の色に嫌な予感がした。
「上級魔法の威力を思い知るがいい!バーニングブラスト!」
そう唱えた瞬間、胸糞勇者の手から赤々と燃える炎が舞い上がり、レッドドラゴン目掛けて上昇していく。
そして、レッドドラゴンに炎が当たったと同時に激しい爆発が起こる。
たちまちレッドドラゴンが爆炎に包まれていった。
「どうだ!見たか女?このアルテガ様の実力を!」
胸糞勇者が私にドヤ顔を向けてきた。
私は今、どんな顔をしているのだろう?
鏡があったら見てみたい。
私は何も言わずにスッと右手を上げて、上空を指差した。
「ん?」
胸糞勇者が私の動作を見て、同じく上空を見上げた。
やがて爆煙が薄れていく。
そして、爆煙が完全に晴れる前に上空を見上げていた胸糞勇者の表情が絶望へと変わった。
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