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「…ごめんなさい。私…そうとは知らずに一方的に魔族が悪いように言ってしまいました…」
アンネがしゅんとしたトーンでオーリュウに言った。
するとオーリュウが慌てて、こっちを振り返る。
「わ、私こそつい感情的になってしまい申し訳ありません。私が言いたいのは人間にしろ魔族にしろ悪い行いをする者がその種族のイメージを悪くしているということなんです…でも、あなたのように心の綺麗な魔族もたくさんいますよ」
オーリュウの言葉にアンネの隣で私は黙って頷いた。
「是非、そのような魔族の方とお話ししてみたいです」
とアンネスマイルが炸裂する。
ああ…やっぱりアンネはしゅんした表情よりも笑顔が一番だ。
何より推しの笑顔は癒しを得られる。
「話をしている間にどうやら町が見えてきましたね」
オーリュウの言葉にすぐ前方を眺める。
すると、前方に小さく町が見えてきた。
「クナモテアです。あそこは私の管理下にあるので、しばらくあの町でゆっくりしましょう」
オーリュウがそう言ってニコリと笑った。
ああ、町に温泉でもあるといいなぁと思うも、口には出さない。
あくまで私はオーリュウの依頼を受けて来たのだ。
七魔衆を倒すという目的で…
…でも、温泉くらいは入りたい。
出来れば推しと一緒に…
とオーリュウとアンネと共に町へと歩みを進めながら、一人でそんなことを考えていた。
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