クナモテア

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クナモテア

森から抜けたあと、しばらく歩いてクナモテアの町に到着した。 この陽の当たる町は人間界の町と変わらぬ雰囲気を醸し出している。 それを見るアンネの表情が明らかに「ここは本当に魔界なの?」と物語っていた。 だが、町の中を歩く者は人間界とは違う。 一見、人間に見えるが肌の色が薄紫で明らかに人間とは違い、頭から角が生えている魔人と呼ばれる者。 顔や身体は獣だが、普通に二本足で歩いている獣人と呼ばれる者。 人間のような体型をしてはいるが、目がひとつしかなかったり、三つあったりする悪魔と呼ばれる存在。 あと、どの種類も背中から羽を生やしていたり、そうでなかったりと様々だ。 それに魔族に括られている部類はまだまだいる。 おそらく魔物か魔族かよく分からない種類もあるので、私も実際のところはどこからどこまでが魔族なのかはよく知らない。 まあ、魔界において個々の種類など正直言うとどうでもいい。 何であったとしても、異分子扱いを受けることはまずないだろう。 ただし、それは人間を除いての話だ。 エルフやドワーフが魔界の町を歩いていようと、あまり目立たない。 だが、人間だけは魔界において普通にいてはおかしい存在であって、いれば一際目立ってしまう。 なので、先程から私とアンネに向けられる町の者たちの視線が痛い。 まあ、オーリュウの先導なので、皆すぐに何かを悟って視線を逸らす。 それを見て、この町におけるオーリュウの威厳が窺える。 「あと少しすれば、この町での私の家に着きますので、居心地はあまり良くはないとは思いますが、もう少し辛抱してください」 魔族の者たちの視線を感じ取っていたらしく、オーリュウが気遣って私たちに声を掛けた。 「いえ、別に居心地は悪くありませんよ。初めは見たことのない方々が歩いていらっしゃるので、少々驚きはしましたが、もう慣れました。とてものどかな町なので、今はここが魔界じゃなくて人間界なんじゃないかと疑っています」 アンネがにこやかに答えた。 「…なるほど、流石はアンネさん。ドシーと入れ替わって魔界に来るだけのことはありますね」 とオーリュウがクスッと笑った。 オーリュウの言う通り、アンネの度胸はなかなかのものだ。 魔界に何度か訪れている私ですら魔族たちにじろりと見られて居心地はかなり良くないというのに、アンネはその視線が気にならないんて凄い。 私は今すぐにでも人間界に帰りたいわ… オーリュウの後をついて町の中を歩くこと数十分、オーリュウがある建物の前で足を止める。 私はオーリュウの後ろから、その建物を見上げた。 大きな御屋敷が目の前にそびえている。 オーリュウが先程、と言ったから、普通に頭の中で家を想像したが、最早これは家ではない。 御屋敷…いや、城と呼べるほどのデカさだ。 たしかに町の外から城みたいな建物があるなとは思っていたが、まさかそれがオーリュウの個人的な家とは思わなかった。 流石は魔王の幹部様…
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