第ニ章:降り注ぐ太陽の日差しが眩しくて

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 鞄から出して手渡された資料を見て真白は絶句した。目の前の資料には見覚えがある人物が載っていた。見覚えがあるどころではない。忘れもしない『アイツ』だ。 「この榊緋色君はね、ダンスパフォーマンスが素晴らしくてね。見た目も華やかだからリーダー向きかな」  アイツがリーダー? 一旦飲み込んで考えもせず、思った事を口にしてしまう人間がリーダーどころではないだろう。川嶋は一体何を考えているのだろう。  資料をめくりながら、なお川嶋は話を続ける 「アイドルユニットなんて吐いて棄てるほどいるけど、個々で活動出来るような人間がわざわざグループを組むっていうのが面白いと思うんだよね」 「真君、退屈してるんじゃない?」  川嶋が真白の方を向いて笑う。この人は一体どこまで真白の心の中をわかっているんだろうか。 「川嶋さん」 「なんだい?」 「お気持ちはよくわかりました。でももう僕は」  もう椿まりこの息子として芸能界に戻りたくない。それは真白の本心だった。いい加減自分を演じる事には疲れたし、どんなに努力をしたところで『二世タレント』の括りからは逃れられないのだ。こんな報われない馬鹿馬鹿しい話はない。 「真君の名前は真白ね。雪野真白。椿まりこの子供だという事は伏せる。雰囲気も子役時代と全然違うしバレることもないと思うよ。とりあえず事務所に遊びに来てみたら?明日、榊君が事務所に顔を出すことになっているから」  真白の心の中をまるで全て読んだかのような回答を川嶋がする。芸能界を長く生き抜いてきたこの人にはやはり勝てない。そして同時に自分にたてついてきた榊の存在が気になりはじめていた。  アイツは相変わらずまっすぐ前しか見えてない馬鹿なのか、それとも少しは芸能界を理解したのか。 「川嶋さん。わかりました。この話お受けします」  正直このユニットが成功するもしないも芸能界に未練もない真白には関係のない話だ。寧ろ少しひっかきまわしてみようか…イタズラ心がムクムクとわき上がった。
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