1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
0 ショック
最初は夢を見ているのかと思う。
右手が手首の先からポチャリと水になり、研究室の床に落ちたからだ。
吃驚して確認すると手は元の位置に戻っている。
床に水溜まりはない。
「疲れているのだろうか?」
そのときは、そう思うしかない。
次に左手が落ちる。
気づいたときには、またすぐ元に戻っているが、その指先がジェルのようにプルプルと揺れる。
けれども脳がそう認識した途端、正常に戻る。
その次は右足の膝から先で、そのときにはさすがにバランスを崩して転ぶ。
その次は左足の腿から先だ。
「気のせいなんかじゃない!」
最後の体験の後、確信する。
起こっていたのは理解不能で、かつまた常識的にはありえない症状(現象?)だが、夢の中にいる朦朧感はない。
それとも、これが世に云う明晰夢なのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!