0 ショック

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

0 ショック

 最初は夢を見ているのかと思う。  右手が手首の先からポチャリと水になり、研究室の床に落ちたからだ。  吃驚して確認すると手は元の位置に戻っている。  床に水溜まりはない。 「疲れているのだろうか?」  そのときは、そう思うしかない。  次に左手が落ちる。  気づいたときには、またすぐ元に戻っているが、その指先がジェルのようにプルプルと揺れる。  けれども脳がそう認識した途端、正常に戻る。  その次は右足の膝から先で、そのときにはさすがにバランスを崩して転ぶ。  その次は左足の腿から先だ。 「気のせいなんかじゃない!」  最後の体験の後、確信する。  起こっていたのは理解不能で、かつまた常識的にはありえない症状(現象?)だが、夢の中にいる朦朧感はない。  それとも、これが世に云う明晰夢なのだろうか?
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!