(二)

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 そう言われたので、電話番号を口頭で伝えた。女性はそれをすぐにスマートフォンに入力した。 「念のため、名前も教えてくれるかい」 「王寺カズナガ」 「王寺、カズナガ君、と。王子様みたいな名前だな」  サナさんはそう呟きながら素早く連絡先を登録した。そして「今日はありがとう」と再び言うと、運転席に乗り込みすぐに車を発進させて走り去ってしまった。  最後は彼女が体調不良になってしまったが、俺にとっては夢のような一日だった。こんなにウキウキしたのは初めてであった。 (続く)
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