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――僕に、出来る訳がないけれど。このひとを守りたいって、そう思った。
そのまま、しばらく二人で抱き締めあって。
子供みたいに温かい彼の体温に安心してしまったのか、いつの間にか眠ってしまった。
* * * * * * * * * * *
――いつか、また君を助けに来るから――
――いつか、君がまた笑えるようにしてみせるから――
――お願いです。どうか、それまで――
――ぼくのこと、忘れないでくださいね――
――久々に、夢を見た。本当に、久々に。屋敷に居た頃は、夢を見れるほどの長い時間は、眠れなかったから。
やさしくて、淡くて、儚いゆめ。暖かくて、そして、少しだけ寂しいゆめを。
「……ん…」
むくりと体を起こす。柔らかいシーツが皴を作った。
(……僕の、部屋だ)
移動した覚えがない。リークさんが運んでくれたのだろうか。いつの間に眠ってしまったのだろう。
(夢を、見た気がする)
だけど、その輪郭は曖昧だ。朧気で、ふわふわとして掴みどころがない。まるで霧を掴もうかとしているような感覚。
「……どんな夢、だったんだろ」
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