星のない夜

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「嘘はつくためにある」と言って憚らないシンは、パチスロにでも勝ったのか、オレを酒に誘った。  あいつとはもう人生の半分以上の付き合いだが、俗にいう腐れ縁というやつかもしれない。  シンは、無職だった。  相手の女に無心しては、遊び回っているようだった。 「珍しいな、オレを酒に誘うなんてよ」  街灯に凭れたままシンは、白い歯を見せて笑った。 「ま、たまにはお前と飲みたくてな」 「また今の女に飽きてきたのか」 「酷いこと言うな」 「単なるオレの予想だ」  あいつは、わざとらしく肩をすくめた。  
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