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「あの人は、どこかしら」  ようやく落ち着くと、娘は恋人の姿を探したが、彼はどこにもいなかった。  事情を聞いた猟師は、気の毒そうに言う。 「きっと、そいつが出ていって手薄になったから、化け物が襲いにきたんだろうな」 「でも、私を置いて行ってしまうなんて……」 「流れ者ってのは、そんなもんなのさ。親たちが、村に定住してるきちんとした若い衆と結婚させたがるのは、だからだよ」 「そう……」  娘は、世間知らずの自分を恥じ、口を噤んだ。
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