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千鳥が15になると、都から使者がやってきた。
「いよいよだ」
黒猫は報せに沸き立つ集会所に乗り込んだ。
「浮かれている場合ではないぞ! 今夜この村は土に呑まれる。早く村を捨てて逃げるんだ!」
黒猫は声の限りに叫んだ。
突然の出来事に、辺りはシンと静まり返る。
「ややっ!? 尾が二本ある上にしゃべる猫だと? さては妖が災いを運んできおったな! 縁起でもない、斬れ、斬れ!」
怯えた高官が護衛をけしかけ、黒猫はその場で斬り捨てられた。
次に黒猫が目を覚ましたのは、またもや千鳥が吉野に抱かれて神社に詣でる日。
場所は鳥居の下であった。
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