サニーデイ

1/269
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/269ページ
水無月祭は、同系列の私立学校6校で毎年開催される合同体育祭だ。 特にスポーツに秀でてる学校もないので、似たようなレベルのお祭り 気分で盛り上がる。 人数合わせの為に、部員で無くても他競技に参戦したりもする。 そんな感じでサッカー部の空実瞬は、陸上1000Mに引っ張り出され ている。体力測定で学年一番のタイムを出したからだ。 ここで待っていれば、そのうち呼ばれるから。とだけ言い残して 陸上部のマネージャーは行ってしまった。 待機場所では他校の陸上部員達が、軽く体を動かしながら雑談で 盛り上がっていた。 陸上競技は中高校混在で行う。もちろん順位付けは別にして。 だから6年越しのライバルなんて仲もあって、お喋りは尽きない。 そんな雰囲気の中で、空実は隠れるように隅っこに佇んでいた。 選手はみな学校名が入ったランシャツなのに、空実は体操服。 誰から見ても、数合わせの部外者だと明確だった。 「そこ隙間風通るから、冷えるやろ。これ羽織っとき」 ふっと長身の選手が前に立って、空実にジャージを掛けた。 いつ呼ばれるか判らないし、賑わってる場を横切る度胸も無く。
/269ページ

最初のコメントを投稿しよう!