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第1話 あなたの舎弟にしてください!(1)
不破龍之介は何というか人相が悪く、見た目こそ《不良のそれ》ではあるが、生まれてこの方そういった自覚はない。喧嘩なんて滅多なことではしないし、学校の授業だってサボることはない――ごくごく普通の男子高校生だ。
だから、目の前にいる男子生徒が発した言葉にひどく困惑した。
「俺をあなたの舎弟にしてください!」
放課後の体育館裏。桜の花びらが舞うなかでのことだった。
こんなところに呼び出されたと思ったら、待っていたのは男子生徒だったし、開口一番に「舎弟にしてください」だ。予期せぬ事態に頭がくらくらとしてしまう。
「とりあえずツラ上げろよ。ンなこと、突然言われても困るっての」
「あ、すみませんっ……とにかくですね、不破先輩のお役に立ちたいんです!」
なおも相手は真剣な様子で、こちらをまっすぐに見つめてくる。
おそらくは先日入学したばかりの一年生だろう。制服がまだ真新しい感じだし、身長だって女子と大して変わらない。おまけに随分と童顔だ。
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