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昔話
むかしむかし、雲のうえにおおきくて真っ赤な鳥がすんでいました。その鳥は、死んでも死んでもよみがえる、不死鳥でした。だから、人間に恐れられ、地上にすむことができませんでした。
ある日、空をとんでいた不死鳥は、雷にうたれ、翼がきずついてしまいました。不死鳥はとべなくなってしまって、そのままおちてしまいました。
不死鳥は目をさましました。ここはどこでしょう。あわててとぼうとしますが、翼がいたくてとべません。翼をみると白いぬのがまかれていました。いったいだれが、こんなことをしたのでしょう。もしかしたら、自分のことを恐れた人間がやったのかもしれません。ぬのをとろうとしますが、うまくはずれません。不死鳥があせっていると、ひとりの女のひとが近づいてきました。
「よかった、目がさめたのね。お庭にでたらあなたがたおれていて。翼をけがしているみたいだったから、くすりをぬって包帯をまいたわ。とっちゃだめよ?家のなかに運びたかったのだけど、あなた大きくて運べなくて。ごめんなさい」
どうやら、こちらに敵意はないようです。
「とりあえず、うごけるなら家のなかにはいって。あなた、不死鳥でしょう?ほかのひとに見られたらたいへんよ」
たしかにそれはたいへんです。不死鳥は女のひとにてつだってもらい、家のなかにはいりました。
「たすけてくれてありがとう。きみは、わたしのことがこわくないの?」
「こわくなんてないわ。だってあなた、わたしたち人間になにもしてないじゃない」
そうして不死鳥は、女のひと きよさんと、きよさんの旦那さん わたるさんに看病をされ、げんきになりました。
「うん、もうきずもなおったね。どう?いたくない?」
「ああ、もういたくないし翼も動く。ありがとう。わたし、あなたたちにお礼をしたい。なにかこまっていることはない?」
そうきくと、きよさんはすこし悲しいかおをして、はなしました。
「わたしたちね、こどもがほしいの。でも、なかなかできなくて…… こんなこと、さすがにあなたでもむりよね…」
「なんだ、そんなこと おやすいごようだよ。さあ、ふたりとも、手をだして」
不死鳥は、さしだされたふたりの手にじぶんの翼をかさねました。すると、不思議なひかりがふたりをつつみます。
「きっとこれで、こどもができる。でもね、そのこどもには わたしのちからがやどっているから、ふつうのにんげんとはすこしちがうかもしれない。ちゃんと、ふたりがまもってあげるんだよ」
不死鳥はそういって、空たかくとんでいきました。
そのあと、きよさんとわたるさんの間には、よにんのこどもがうまれました。長男は たけと、長女は うた、次女は ちづる、末っ子は ひろ。よにんは病気にもならず、風邪もひかず、すくすくとそだちましたーーーー
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