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後始末
昼食と話を済ませた私たちは早速明日香さんが住む家に向かう。
私たちが乗ってきた車は近くのパーキングに停めて、保護者の車で向かうことにした。
明日香さんの部屋は2階で、窓はカーテンで締められているため中をうかがうことができない状況。
どうやって声をかけるのか、その段取りはどう考えているのだろうかと湊さんをちらりと見る。
「美緒、あんたが行きな。明日香さんと年が近いみたいだし」
「わかった……。でも大丈夫かな。うまくいくかわからないけど」
「私がいるから大丈夫、もしだめだったら助けに入るからさ」
「了解」
保護者の案内で私たちは階段を上がって部屋の前にたどり着く。
明日香さんにお客さんがいるよと声をかけると、うんと少しだけぶっきらぼうだけどシンプルな返答が来た。
「初めまして。私、須川華子先生の」
と自己紹介を始めるとドアがバンと大きく開いた。
「入って。ごめん、叔母さん。二人きりで話したい」
その勢いに押された私は明日香さんに腕を引っ張られていく。
はいとかいいえとか返答する暇なく、私は流されていった。
窓やカーテンを閉め切っているため、重苦しい空気が漂っている。
しかし、目の前の明日香さんからはそんな雰囲気を感じさせないほど生気に満ちていた。
腰までの長髪はずっと引きこもっていた証なのだろう。
顔色はあまりよくないいようで青白いが、ハリというか眼力の強さはあった。
明日香さんは私の顔を見るとより目がはっと大きく開いて、しばらく無言のままだった。
なんだろうなあ。
さっきの保護者さんもそうだけど明日香さんも私の顔をじっと見つめている。
やだなあ、さっきので保護者さんからの謎の視線を逃れられたけど、今度は明日香さんからの視線かあと私はうんざりした。
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