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「ほ、本当に学生さんだったのね」
と明日香さんは驚く。
予想外の客に私は悪態をついた。
「おい、ふざけんな。湊さん。最初に言ってくださいよ。私が未成年であることばれちゃったじゃねえか」
明日香さんが驚くのも無理はない。
初めて会った時はスーツを着ていたからだ。
年下だし、未成年だから相手になめられないよう霊能者として働くときはスーツを着ていたのだ。
せっかくの自分の努力はこれでおじゃんになってしまうとは。
「いいじゃねえか。これから明日香さんがここの家政婦になるんだよ」
「……だが断る」
「岸部露伴になっても無駄だ。明日香さんがあんたに運命を感じたから働きたいってさ」
「いやー、うちは大丈夫なんで。手え、足りているんで」
「どこがなんだよ。このゴミ屋敷の汚部屋!」
と湊さんに突っ込まれて私はぐうの音がでなくなった。
確かにゴミ屋敷だ。
清潔感がモットーの神社に住むにはふさわしくないすごく汚い部屋だ。
脱ぎ散らかした服、たくさん積まれた雑誌、なにがどこにあるのかわからないくらい物に溢れている。
そういわれると私は何も反撃できない。
「美緒、さすがに片づけなさい。いつも言ってるだろう」
と私たちの騒ぎを聞きつけたのかここの神社の神主である平田さんがやってくる。
「助けてください、平田さん。湊さんがトチ狂ったのかここに家政婦を置くらしいって。神主の権限でどうにかしてくれませんか?」
と最後の頼みにかけてみる。
平田さんはこの家の主だし、家政婦を置くかどうかは最終的な決定に欠かせない。
平田さんなら私の望み叶えてくれるよねと期待を込めて見つめるが……。
「ああ、いいね。美緒の根性を叩き直すにはいいかも」
「おいーーーー、ふざけんな。私の味方いないのかよ」
結局なんだかんだ私の望まない日常が来ることになったのだった。
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