エピローグ

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―番外編― 『ブールス王国史』巻12列伝マリア=オルゾンの章より引用  この時代のブールス王国においてもっとも傑出した政治家は誰か。その問いに対して、ほとんどの学者はマリア公爵と答えるだろう。  彼女の人生は、従来の貴族の常識とは外れていた。彼女は、有力なオルゾン公爵家に生まれて、両親の夭折によってまだ10代でありながら公爵家の当主を務めた。そもそも、女性の彼女が公爵家を継承したこと自体、異例であり、彼女の父が国王の親友だったため許されたとされる。  彼女は、王太子の婚約者として育てられたが、王太子はかの悪名高いミーサ子爵令嬢に篭絡(ろうらく)されてしまい、彼女との婚約を破棄した。ブールス王国における"傾国の美女"事件である。  その後、彼女は数年間、歴史の表舞台からは姿を消した。この空白期間に彼女が何をしていたのか、それはよくわかっていない。ここからこの空白期間に、彼女が諸国漫遊の旅に出て、世直しや王太子失脚のための暗躍をおこなったという伝説が流布された。すでに、何度も小説や舞台の題材となっているマリア伝説はここから生まれている。  この空白期間に生涯の伴侶となるラファエルと出会ったとされる。  ラファエルは平民出身でありながら、恐ろしいほどのキレモノで、武道に優れた人物であり、彼女をよく補佐した。元々は、王太子の執事であったはずだが、なぜ二人が結ばれたのかはよくわからない。小説や舞台では、禁断の恋に落ちたふたりが駆け落ちしたと解釈している物まである。  その後、歴史の表舞台に戻った彼女は、女性初の内務卿に就任し辣腕を振るった。  彼女の内務卿時代の活躍は、①近代法の整備、②身分差から発生する弊害の是正、③官僚試験の貴族特権の廃止など枚挙にいとまがない。  この王国の近代化には、夫であるラファエルも大きな影響を及ぼしたとされるが、夫婦はお互いに相手の功績の方が多いと証言しているため、詳細は不明とされる。  身分差がありながらも結婚した両者に、保守的な貴族層は反発したとされるが、彼女たちは実力を示すことでそれを封じていった。  この時期もふたりは度々、王都から抜け出して地方に外遊に出向いたとされるが、詳細は不明である。先の空白期間との伝承と混在していることもあって専門書の記述にも誤りが見えるほどだ。  2人の男子の子宝に恵まれ幸せな私生活を送ったとされている。  その兄弟は次世代の王国に大きな変化をもたらすのだが、それは別の章で詳述する。  王国の近代化に尽力した彼女は「本当の国母」と呼ばれ、彼女の功績は歴史書において輝き続けている。 【後書き】 (作者)  これにて完結です!  本当にありがとうございます。  まだ、旅行に出かける余地を残して終わりましたので、もしかすると番外編も書くかもしれません。本編は区切りよくここで完結としました。  最後まで読んでいただき本当にありがとうございましたm(__)m
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