7.俺の気持ち

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7.俺の気持ち

 夏休みになった。だが俺は塾の夏期講習に行かなければならなかった。高二の今のうちから受験に向けて勉強しておけ、ということらしい。  ぐったりとして歩く塾からの帰り道、白鳥と天野に会った。 「彦根くん、生きてるー?」 「死んでる」 「しっかりしろよ、まだ講習続くんだろ。お、あそこにいるの、織部じゃね」  天野が示した先を見ると、確かに織部がいた。一緒にいる女性と親しげに話している。女性の背は高めで、織部と同じくらいある。色が白くて、まつ毛が長かった。 「そっとしとこうか」 「彼女いたのかよ。羨ましい奴だな」  天野がきししと笑う。 「彼女……」  なんだろう、この気持ち。知らない織部がいるショック? 俺は織部のことよく知ってるって、勝手に思ってたのかな。 「おーい、彦根どうした? あっ、もしかしてあの彼女に惚れた? 今度は織部と女の子の取り合いか?」  天野が俺の顔の前でパタパタと手を振るが、あえてスルーした。  俺が織部にとって特別なんだと思ってた。でもそうじゃなかった。それがこんなに空しい。これは、もしかしたら。
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