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ユリカが自宅に戻ると、そこには見覚えのある人の姿があった。
「お疲れ様。ちゃんと話せた?」
その言葉にユリカは深くうなずいた。
「うん。沙彩のおかげで、ちゃんと別れられた。ありがとう」
頭を下げるユリカを、沙彩は軽く撫で
「がんばったね」
と言った。
その言葉で鼻の奥がツンとなる感覚をごまかすように、ユリカは沙彩を家の中に入れた。
沙彩は慣れた様子でいつもの定位置に座り、
「おかしいと思ったんだよね。ユリカが選ぶものはいつもすごく素敵に見えるのに、あの人だけは全然魅力的に感じないんだもん。束縛激しくてなかなかユリカに会えなくなるし、彼氏と一緒なら会えるっていうから会ってみたら堂々と浮気を持ち掛けてくるし!泳がせてみたら案の定最低な奴だった!」
と怒りをあらわにした。
「それ、どういう嗅覚?でもおかげですっかり目が覚めた。ありがとう」
「でもちょっとだけさびしい?」
全てを察したようにいう沙彩に、ユリカは小さくうなずいた。
「大丈夫!ユリカにはもっといい人がいるよ。次は絶対いい人見つけよう」
そう言って肩を強く掴む沙彩に
「でも……彼氏のおそろいは嫌だよ?」
とユリカは目を潤ませて答えた。
「ちょっと!もっと私を信用してよね。大丈夫!これからもユリカの彼氏は私が見定めるから」
「それはそれでちょっと怖いな……」
微笑む沙彩と対照的に、ユリカはうっすらと苦笑いを浮かべた。
結局、何を失っても、いつも最後は沙彩が傍にいるんだよなぁ……。
ユリカは、おもむろに沙彩を抱きしめた。
「最後まで味方でいてくれて、本当にありがとう」
一瞬驚いた後、沙彩はその言葉に答えるようにユリカを抱きしめ返し
「当たり前でしょ!だって私は、ずっと、ユリカと一緒が良いの」
と微笑んだ。
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