パフェのある構図

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 デート当日は、最寄り駅の改札で待ち合わせた。僕は二〇分前に到着し、近くの公衆トイレに入っては髪型のチェックを何度もした。  昔から、僕は格好いいと言われたことが一度もない。けれど、ブサイクと言われたこともない。コンパの時には、たいてい「いい人そう」と言われる。ということは、彼女が僕を遠くから見つけてドタキャンすることはない気がする。きっと、たぶん。  到着のメッセージが来た。僕は慌てて改札口に戻る。  改札から吐き出される人と吸い込まれる人が作る流れの中で、ぽつんと置かれたように女性が立っている。彼女だ、間違いない。僕ははやる気持ちを抑えて、なるべくゆっくり歩いて近づいた。 「美咲さん、……ですよね?」  色白の丸顔、大きな黒い瞳、人なつっこそうな笑顔に、僕の心臓はバクバクと踊っている。 「はい」美咲がぺこりとおじぎをすると、髪先が肩の上で弾んだ。
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