ぼくとつ

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 家に着き、手を洗ったりスーツを脱いだりしている間にレンジでライスバーガーを温める。 (久しぶりに俺を呼んだ割には、ずいぶんつまらない悩みだったな)  本当だね。もうずいぶんご無沙汰だったから、いなくなってないか確認したくてね。元気そうで良かったよ。  就職した後の日々は忙しく、選択で悩む余地もなかった。  それは今も同じで、僕には決裁権もなく、ただ歯車のひとつとして働いているだけだ。  レンジから取り出したライスバーガーをひと口かじる。タレの味が染みた焼き肉がおいしい。  ライスバーガーは、過保護じゃないところが好きだ。おにぎりみたいに中身をぎゅっと閉じ込めたりしないで、やさしく挟んでくれた上でちゃんと外の世界と触れさせてくれる。  
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