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冬になる頃、雪之介と会えなくなってしまう。
何度か中庭に足を運んだが、彼が現れることはなかった。
退院する前にはひと声かけてくれるかと思っていたけど、ただの患者と看護師の関係。連絡先を交換しているわけでもなかった。
春佳は少し寂しい思いをしていた。
明るくて前向きな雪之介に、いつも励まされていたから。
患者一人に依存してはいけない。
どんなことがあろうとも、顔を上げて一歩一歩進んでいくしかないのだ。
『案外、どうにかなるものだよ』
雪之介の言葉を胸に、春佳は前を向く。
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