これが最後の

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これが最後の

何度読み直しても完璧だ。 今までの俺の集大成がこの物語には詰まっている。 ああ、早く午後5時にならないかな。 あと10分。 待ち遠しくてたまらない。 その時間にはネット小説投稿サイトを運営しているエブリデイ社主催のネット小説コンテストの受賞作品が発表される。 間違いなく俺の作品は入っている筈だ。 ここまで自信があるのにはちゃんと根拠が有る。 俺は一度だけエブリデイ社のちっぽけな賞を取った事があるのだ。 この作品はその時賞を取った作品より数倍面白い、それが根拠だ。 ここ最近、応募すれど応募すれど全くかすりもしなかった。 だが今回は大丈夫だ。 この作品でも賞が取れなかったら俺は小説を書く事をやめる。 いや違うな、エブリデイのアカウントを抹消する。 これでもダメならそれは俺が悪いのではなく、エブリデイの審査員の奴らの見る目が無いのだ。 所詮小説コンテストなど、審査員の好みだ。 そいつらには俺の良さが分からないという事になる。 だがまあそんな心配は杞憂に終わるだろう。 おっと、物思いに更けていたらもう5時ではないか!どれどれ・・・ ・・・ない・・・ない・・・ないない!!馬鹿な!!俺のハンドルネームがないぞ!!! ・・・くそが!!やっぱりあいつらは俺の良さを理解できる頭脳なんか無かった三流集団って事だ!!!! ああ、もういい!!こんなクソサイトやめてやるよ!!!小説投稿サイトなんか他にいくらでもあるからな!! ああ、もう何もする気がしねえ!!酒だあ、酒酒!!! ・・・・・・・・・・・・ん?・・・あ・・・そうか、飲みすぎちまったのか、いつの間にか寝てしまったみたいだな。 さて、どうしようか。 なんか変に目が冴えてるし、小説でも書くとするか。 よし!そうとなれば今度こそ入賞してやるぜ! でも次が最後だ! それでダメだったらその時は、今度こそエブリデイのアカウント消してやる。
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