1章 旅の始まり

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1章 旅の始まり

「じゃあ、僕この病室に居るから」 渡された紙には『205号室 蒼葉 空』 と書いてあった。次の日、205号室を覗くと 楽しそうに本を読んでいる空が居た。 「あっ、いらっしゃい!!えっと…」 そこで、私は自分の名前を名乗っていない事に 気づいた。 「…私は、四季。」 「四季ちゃん?…季節の四季が名前なんだね」 そう言いながら少年の顔がぱわーっと明るくなった 私はそれを見ながら内心イラッとしていた。 いつもそう、そういう表情される。 名前で決めつけられる。 「昔通ってた学校でもそういう顔されたな… 見た目と似合ってないねって笑われた。」 …つい皮肉が出てしまう自分の性格が憎い。 「そう?僕は四季ちゃんらしい名前だと思うよ」 「そうかな…ありがとう。」 少年が優しい笑顔で言うから不思議と 素直に受け取れた。 「…でどうするの?今日…」 私は、自己紹介で忘れていた本題を思い出した。 「そうだった!季節を巡るんだったね。 まずは、桜の木を見に行こう。」
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