6章 冬

1/1
前へ
/9ページ
次へ

6章 冬

すっかり暖かい時期も終わり、肌寒くなってきた。 流石に冬は寒いので病室で過ごす事が増えてきた空。 「雪遊びとかしたいのになぁ」「スキーしたいなぁ」 と毎日子供みたいに駄々をこねる空は可愛い。 私は、その様子を病室で眺めながら絵を描いている。 「四季は、絵は結局続けないの?」 「別に部室に行かなくても絵は描けるでしょ?」 的を得た事を、空は時々グサッと言ってくる 「…んー。考え中かな。」 私がそう言ったら空は、悲しそうな顔をしていた…。 本当は明日学校に顔を出して、部活に退部届けを 提出して春から通う予定でいる。喜ぶ顔が 見たいからサプライズで話すつもりだ。 次の日、私は顧問に退部届けを出しに職員室へ 帰りに部室に置いてある自分の荷物を取りに 来ていた。荷物を片して帰ろうと廊下を出ると、 「…四季?。」 私の名前を呼ぶ女子が居た。やばい…。 同級生には出来るかぎり、会いたくなかった。 「四季だよね?。私その…ごめんなさい。」 声をかけて来た女子は、突然そう謝ってきた。 振り向いた私は驚く。そこには、まりあが居たのだ。 「…まりあ?何でまりあが…」 「私、あの時…四季が賞を取った日 自分が落選した事に落ち込んでいて周りの 慰めの声もあまり耳に入ってなかったから… 四季が酷い言葉を言われてるの聞いてても… 何も言い返せなくて…」 「それからみんな四季の事、無視し始めて… 私、大丈夫だからやめようよ。そんな事ってずっと 言ってたんだけど…」 「まりあは、いい子過ぎるんだよ。だって実力の差 って言ってきたんだよ?。ムカつくじゃん。」 聞きながらそれは、私がいけないと思った。 確かに、親友だったまりあを傷つける言葉だった…。 「でもそれはみんなが四季を先に傷つけたからこそ 生まれた言葉で、四季が言った本音じゃない。」 笑顔のまま、まりあは優しく言ってきた。 「…まりあ。」 「それでね…私が部活遅れてきた日。四季の大事な 絵がビリビリに破られてる事に気づいて、 今までのこと、全てムカついてきてさ」 「あんた達みたいに、四季の素敵な絵たちを バカにする奴らと絵なんか書きたくない。くだらな いから辞めるって、部活辞めてきちゃった。」 「でもね、スッキリしたの。絵なんか別に 部活じゃなくても、出来るしね!!」 おもいっきり笑顔でピースを振りまくまりあ。 「ごめん…ごめんね。まりあ。傷つけて…」 「謝らないでよー笑 私だって最初から、四季を 守れなかったし。四季を追い詰めてた…。」 「あっ、でも申し訳ないと思うなら学校来てよ! 私と一緒に2人で放課後は絵の練習しよ。」 笑顔でそう話す、まりあの優しさは暖かくて 私は、大泣きしてしまう。そんな私をまりあは優しく 頭をぽんぽんしてくれる。本当に素敵な親友が 居て良かった。 明日、病院に真っ直ぐ向かおう。そして空に ありがとう。とちゃんと言おう。 そう決めた冬空だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加