7章 最後の手紙

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7章 最後の手紙

さっそく、昨日の出来事を伝えに行こうと もう、行くのが日常になりつつある、 空のいる病室へ向かおうとしていたら… 「四季ちゃん…これ空くんが。。。」 看護師さんに、手紙を渡された読んでいくうちに 空がどうなってしまったか意味がわかり始めた。。。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『四季へ』 こんな形で、最後のあいさつになってごめん。 四季のお陰で僕の人生最後の1年は、 とても幸せな1年になりました。 でもごめんね、四季。 僕は嘘をついていました。実は…屋上で 会う前から四季の姿は知っていたんだ。 僕の部屋の窓から屋上で楽しそうに絵を描く 笑顔の女の子が、いつも見えていたんだ。 本当に真剣に絵を書いていて、可愛いくて そんな姿に恋をしてしまった。そんな時 いつも楽しそうに絵を描く四季が屋上から 飛び降りようとしてるから、慌てて病室を出て 屋上に向かったんだよ。だけどそれがいけなかった… やっと話せた好きな女の子と一緒に居たくて 「季節を巡る旅をしよう」なんて… 君は死にたがってたのに。 でも四季。四季みたいな素敵な可愛い笑顔の 女の子は生きるべきだ。絶対に。 それに、死ぬ前に僕には夢が出来たよ!! 次の人生では、四季と恋人になって 『季節を巡る旅』をしようと思ってるんだ! 素敵でしょ? …だから四季は、絶対に生きるんだよ。 僕が必ず、「ずっと大好きでした」と伝えに 行くから。それまで、バイバイ四季。 悲しいお別れじゃない。 またねって言えるお別れだから。… 『空より』 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ずるい…。そんな事言われたって… 「空が居ない世界なんか今はもうつまらない。」 私は泣きじゃくりながら呟いていた。 まだ、空に私を前向きにさせてくれたこと。 空の笑顔が大好きだったこと。空と過ごせて 幸せだったこと。まりあと仲直り出来て、 来年から学校に行けそうなこと。 何一つ私は、伝えられてないのに。 勝手に行かないで。私は、もっと空と居たかった。 ずっと2人で。 看護師さんからその時に聞いた。 空の病気は、急変しやすい病気だったこと。 私は、甘く見ていたのだ。いつも明るい笑顔だから 死ぬなんて、きっと嘘なんだと。 大丈夫、良くなるって。 どんな病気なのかも知らずに… そういえば、空は自分の事を話さなかった。 私の話ばかり、聞いてくれてた… 「居なくなってしまった後に気づく大事な人ほど。 でも、空くんが願ってた想いを叶えてあげることは まだ出来るはずよ?。」 泣きじゃくる私の肩を抱きながら、看護師さんは 私にそう問いかけてくれた。 私に、出来ること。それは、空の分も 生きて生き抜いて色んな景色巡ってを 目に焼き付け、絵にすること。 空と色んな景色を見たように。 空の上で、大好きな人が季節を感じられるように 私は、絵を描き続けようと決意した。
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