執着と焦燥感

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執着と焦燥感

 綺麗なブルーのトートバッグに一目で心を奪われた。  普段からあまり〈欲〉を感じない僕にしては珍しい程の強い気持ち。    気付けば話の輪に入っていた。  話せば話すほど〈欲しい〉と願う、その想いが増していく。  欲しいのに自分の手元に無いという焦燥感。  何とかして手に入れたいと言う執着。  触れたい。  単純にそう思った。  きっと彼女が譲ってくれると言ったら言い値で買っていただろう。  トートバッグを見ただけで何で?と思うけれど、きっと理屈ではないんだ。  僕は本能にも、運命にも振り回されたくはないけれど、それでもこの執着や焦燥感にそう名付けられたら受け入れるしかないと思うほどの強い気持ち。  気持ち悪い。  怖い。  それでも嬉しい。  自分の抑えようのない気持ちが気持ち悪くもあり、怖くもあり、それでいて〈こんなにも心を動かされる〉ことに喜びを感じた。  僕はこれからどうなっていくのだろう…。
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