僕の友達

3/3
前へ
/157ページ
次へ
〈光流、恋してる?〉  次に胡桃から来たメッセージは直球だった。あの文章のどこからそう感じたのか知りたかったけれど〈何で?〉なんて返したら怒られるだろう。 〈わからない。  けど、そうかもしれない〉 〈かもしれない?〉 〈かもしれない〉 〈詳しく教えなさい〉 〈会いたいと思う。  メッセージが来ると嬉しい。  メッセージが来ないと淋しい〉 〈うん。他には?〉 〈彼の作品が欲しくて仕方なかった。  手に入れたら作った人に会いたくて仕方なかった〉  何故か恥じらう様なスタンプが返ってきた。  この恥じらいにはどんな意味があるのだろう?悩んでいるうちに次のメッセージが届く。 〈それ、恋じゃなければ何だと思うの?〉 〈…わかりません〉 〈って事は?〉 〈恋ですか?〉 〈ですね〉  やっぱりそうなのだ。 〈胡桃、どうしよう〉 〈何が?〉 〈怖い〉 〈どうして?〉 〈また同じ事になったら…〉 〈ならないよ〉 〈何で?〉 〈私がついてる!  うちの兄さんだって。  静流さんも安形さんも〉  短いメッセージが続いた後に届いたそれは、あの時の僕をよく知る人たちの名前だった。 〈賢志君も巻き込んじゃえ♪〉  そして、今の僕をよく知る人の名前。 〈その人のこと、誰が知ってるの?〉 〈賢志と安形さんは一緒に会ってる。  静流君には話はしてある。  楓さんには次に会ったら話すつもりだった〉 〈何で私に真っ先に教えてくれないの?!〉  怒ったスタンプ付きだ。 〈ごめん。  どう説明したらいいのかわからなくて…。  メッセージだと伝えきれない〉  わかってもらえるだろうか。 〈それに、口に出した言葉は目に見えないけど、メッセージだと残るから。  残すのが怖かった〉 〈バンバン残して認めなさい!〉 〈頑張って〉のスタンプ付きだった。 〈心配なことがあったら相談してほしい。  友達でしょ?〉  続けて送られたメッセージ。 〈ありがとう〉とスタンプを送ってみる。 〈本当は電話したかったけど、ごめんね。  でも、教えてくれて嬉しかった〉 〈こちらこそ、聞いてくれてありがとう。  頑張ってみるね〉  胡桃からの〈頑張って〉のスタンプを確認してアプリを閉じた。  うん、頑張ろう。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1064人が本棚に入れています
本棚に追加