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〈光流、恋してる?〉
次に胡桃から来たメッセージは直球だった。あの文章のどこからそう感じたのか知りたかったけれど〈何で?〉なんて返したら怒られるだろう。
〈わからない。
けど、そうかもしれない〉
〈かもしれない?〉
〈かもしれない〉
〈詳しく教えなさい〉
〈会いたいと思う。
メッセージが来ると嬉しい。
メッセージが来ないと淋しい〉
〈うん。他には?〉
〈彼の作品が欲しくて仕方なかった。
手に入れたら作った人に会いたくて仕方なかった〉
何故か恥じらう様なスタンプが返ってきた。
この恥じらいにはどんな意味があるのだろう?悩んでいるうちに次のメッセージが届く。
〈それ、恋じゃなければ何だと思うの?〉
〈…わかりません〉
〈って事は?〉
〈恋ですか?〉
〈ですね〉
やっぱりそうなのだ。
〈胡桃、どうしよう〉
〈何が?〉
〈怖い〉
〈どうして?〉
〈また同じ事になったら…〉
〈ならないよ〉
〈何で?〉
〈私がついてる!
うちの兄さんだって。
静流さんも安形さんも〉
短いメッセージが続いた後に届いたそれは、あの時の僕をよく知る人たちの名前だった。
〈賢志君も巻き込んじゃえ♪〉
そして、今の僕をよく知る人の名前。
〈その人のこと、誰が知ってるの?〉
〈賢志と安形さんは一緒に会ってる。
静流君には話はしてある。
楓さんには次に会ったら話すつもりだった〉
〈何で私に真っ先に教えてくれないの?!〉
怒ったスタンプ付きだ。
〈ごめん。
どう説明したらいいのかわからなくて…。
メッセージだと伝えきれない〉
わかってもらえるだろうか。
〈それに、口に出した言葉は目に見えないけど、メッセージだと残るから。
残すのが怖かった〉
〈バンバン残して認めなさい!〉
〈頑張って〉のスタンプ付きだった。
〈心配なことがあったら相談してほしい。
友達でしょ?〉
続けて送られたメッセージ。
〈ありがとう〉とスタンプを送ってみる。
〈本当は電話したかったけど、ごめんね。
でも、教えてくれて嬉しかった〉
〈こちらこそ、聞いてくれてありがとう。
頑張ってみるね〉
胡桃からの〈頑張って〉のスタンプを確認してアプリを閉じた。
うん、頑張ろう。
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