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「鏡よ鏡よ鏡さん──」
最後に美しいものを聞かれたのはいつだったか。もう思い出せないくらい昔のことな気もするし、つい最近だったようにも感じる。
あの人は今どうしているだろう。
毎日毎日私に話しかけてくれたあの人は──。
美しい人。プライドが高いけれど弱い人。自信がなくて、毎日私に尋ねてくる。
「一番美しいのは──」
貴女だった。私の一番。愛する人。
『純粋で無垢』
それが一般的な美しさだというのなら、貴女もまたそうでしょう。
ただの鏡の私の言葉を信じて笑う。私の可愛い人。私の一番は貴女のまま──。
物語が終わる前に、また、『貴女です』と答えたい。
またどうか、私に頼ってくれますように。
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